2018

峰浜ポンポコ子ども園

八峰町/木造/地上2階建/延床面積1409.6m2

園児が四季折々の自然と共にのびのびと成長できる「木造園舎」

白神山地の麓、 平野と台地が連続する広大な農村地帯に位置する。 老朽化した2つの保育園を統合した新たな町立の子ども園である。
この地域は、沿岸部のため鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建築物においては塩害等による躯体の損傷が激しく、町ではかねてより木造建築物の優位性を認識しており、本施設も当初より設計条件として木造としていた。 湿気や耐火の対策を講ずることにより、 躯体の耐久性は桁違いに延びることは町内の既存建築物により証明されている。
山、川、海と自然豊かな環境の中で、 園舎もまた周囲の景観と調和した木々の温もりが優しく包み込むような雰囲気とし、園児が四季折々の自然と共にのびのびと成長できるような地場産材を多用した 「木造園舎」とした。 共につくる喜びを分かち合うため、 設計段階におけるワークショップ、 上棟時の餅まき、 現場で使用した木材を利用しての記念品作成など、町、保育園 園児が一体となって竣工した。

正面外観。八峰町の象徴としての山と海。二つの要素を大屋根と両翼の水平に延びる軒ラインで表し、調和とシンボル性の両立を図った。
遊戯室見上げ。吹抜空間に立体的に交差する木構造材が木々の雰囲気をつくりだし、 木漏れ陽のように光が差し込む。

施設の特徴・コンセプト

自然の宝を感じる空間

八峰町の象徴としての山と海。二つの要素を大屋根と両翼の水平に延びる軒ラインで表し、調和のとれた、 それでいてシンボリックなデザインとした。 敷地周囲の見晴らしと日照条件の良さを最大限いかせるように大きな開口を設け、小屋裏空間を有効利用した明るく広々とした空間とした。

わくわく感や冒険心を掻き立てる魅力ある園舎

吹抜けや勾配天井を多用し、 建物のボリュームを最大限に使った空間構成とした。 交差する木構造材が木々の雰囲気をつくりだし、 高窓から差し込む光は木漏れ陽の中にいるような雰囲気をつくっている。 その他、 小屋裏空間の有効利用、ステージ壁を利用したボルダリング壁など、変化に富んだ空間を創出した。外壁色は、周辺の自然景観になじみながらも、 シンボル性と愛着性のある色となるよう関係者の意見を取り入れ決定した。

防火壁による区画で燃え代無しの構造材表わしを可能に

建物用途上内装制限があるため、仕上材ではなく構造材自体で木質感を表現できるよう、 防耐火計画と構造デザインを行った。 防火壁による区画により、燃え代無しで製材をそのまま表わし可能としている。

平割材を利用した木架構

水平・垂直材で構成するイメージを統一した構造デザインとしている。 シンプルな嵌合接合により、 大工の手加工を可能とした。 遊戯室架構 : 水平・垂直に組んだ木材をスチールの下弦材で繋ぐ軽快なトラス。
保育室架構:梁長さを定尺寸法に抑えるため、 跳ね出し梁を利用してスパンを短くする架構=ゲルバー梁。

樹齢60年~80年丸太の付加価値向上の取り組み

小径材には無い利用価値を生む取組み。
1) 外壁板に耐久性の高い秋田スギ赤身材を使用。
2) 高性能化に伴う断熱厚増加に対応するため幅広厚板を断熱保持材に使用。
3) せいの大きい平割材や平角材を用いて大スパントラス梁を構成。
主な部材寸法 : 外壁厚18mm、 屋根垂木60×200, ゲルバー梁・トラス60×120~360, RA (120×240 X 3650)

南東外観。
園庭からエントランス。
遊戯室。
図書コーナー。 架構はゲルバー梁。

受賞

第三回ウッドファーストあきた木造・木質化建築賞 木造A部門 最優秀賞 受賞
照明学会東北支部 照明優秀技術賞

OUTLINE

峰浜ポンポコ子ども園

  • 所在地/八峰町
  • 施主/八峰町
  • 設計者/設計チーム木協同組合
  • 施工者/高田住宅株式会社
  • 延床面積/1409.6m2
  • 構造/木造
  • 階層/地上2階建
  • 施工年/2018年

外部仕様

  • 外壁・軒裏/秋田スギt 18 無加工 自然素材着色塗料塗り
  • 屋根/SGL鋼板 t0.35 立平葺き
  • 開口部/断熱樹脂サッシ

内部仕様

  • 床/ナラ複合フローリング t15 (県産材)
  • 壁/EP、壁紙
  • 天井/ロックウール吸音板、化粧石膏ボード
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